労災保険とは、ご存じのとおり、「業務上」に起こった負傷、疾病または死亡のことをいいます。
「業務外」に起こった場合は「健康保険」の対象になります。
「業務上」とは、「業務」と「負傷、疾病、死亡」との間に因果関係があるということです。
そして、業務災害に対する保険給付は、労働者が労災保険の適用される事業場に雇われて、事業主の支配下にあるときに、業務が原因となって発生した場合に行われます。
なお、次の場合は業務災害と認められないので注意してください。
①労働者が就業中に私的な行為を行い、または業務を逸脱する恣意的行為を行って、それが原因で災害を被った場合
②労働者が故意に災害を発生させた場合
③労働者が個人的な恨みなどにより、第三者から暴行を受けて被災した場合
④地震、台風など天災地変によって被災した場合(事業場の立地条件、作業条件、環境などにより例外有)
⑤休憩時間や就業前後など、実際に業務をしていない時間に私的な行為によって発生した災害(上記④同様の例外有)
※トイレなどの生理的行為については、事業主の支配下で業務に付随する行為として取り扱われ、このときに生じた災害については就業中の災害と同様に業務災害となり得ます。
業務上の疾病について・・・
業務と疾病との間に相当因果関係が認められる場合は、労災保険給付の対象になります。
例えば、労働者が就業時間中に脳出血を発症したとしても、その発症原因となった業務上の理由がないと、相当因果関係はないとされ、保険給付は行われません。
一般的には次の要件がみたされる場合は、原則として認められるとされています。
①労働の場に有害因子が存在していること
⇒物理的因子、化学物質、身体に過度の負担のかかる作業、病原体などの諸因子
②健康障害を起こしうるほどの有害因子にさらされたこと
③発症の経過および病態が医学的にみて妥当であること